法然院サンガ: 286

法然院サンガからのご案内

N-0286-J

平成28年 8月 1日更新

法然院サンガ

 南無阿弥陀佛。

 本尊前の須弥壇上には二十五輪の木槿(むくげ)を毎朝並べる日々が続いています。皆様方にはいかがお過ごしでいらっしゃいますか。酷暑お見舞い申し上げます。今年も7月27日(水)〜29日(金)の3日間に亘り約80名の達人・案内人・ボランティアスタッフ・経済的支援者の皆様方のご協力によって「善気山遊びの寺子屋〜おてらで なんか やったはる〜」を開き(14回目です)、境内は子どもたちの物づくりに取り組む真剣な眼差しと笑顔、時折の泣き声に包まれました。ご参加下さった皆様方に心より御礼を申し上げます。お出ましにくい季節でございますが、下記の通り御参詣をお待ち申し上げております。

 第二次世界大戦で死ぬことを余儀なくされた方々を追悼し、非戦の誓いを新たにする8月を迎えました。当院では長らく鐘を撞くことでこの願いを表してまいりました。今年も8月6日の午前8時15分、8月9日の午前11時2分、8月15日の正午に鐘を鳴らします。皆様方も黙祷ではなく、「南無阿弥陀佛」「南無妙法蓮華経」「真言」など大切にされている言葉と共にお祈り下さい。


 2013年5月21日〜23日に「遊心会『平泉・陸中海岸 祈りの旅』」を実施し、岩手県平泉町の中尊寺と毛越寺・花巻市の宮沢賢治記念館・遠野市の遠野ふるさと村・釜石市根浜海岸・大槌町の大念寺と江岸寺・宮古市浄土ヶ浜を訪ねました。

 2014年6月16日〜18日には「遊心会『いわき市・南三陸町祈りの旅』」を実施し、福島県いわき市、宮城県松島町、宮城県南三陸町などを訪ねました。昨年は7月6日〜8日に「遊心会『南三陸海岸 祈りの旅』」を実施し、宮城県松島町、石巻市の石巻復興支援ネットワークと石巻市立大川小学校跡地、南三陸町の防災対策庁舎跡と上山八幡宮、気仙沼市の岩井崎、唐桑半島、海の市・シャークミュージアム、岩手県陸前高田市の奇跡の一本松と普門寺、陸前高田市の大船渡保育園と酔仙酒造大船渡蔵などを訪ねました。

 本年は7月4日(月)〜7日(木)に「第73回 遊心会 『下北半島・北三陸海岸 祈りの旅』」で青森県と岩手県北部を旅しました。4日は先ず下北半島の むつ市の宇曾利湖畔にある霊場、恐山菩提寺に参拝しました。恐山菩提寺は平安時代初期に天台宗比叡山延暦寺の慈覚大師円仁によって地蔵菩薩を本尊として開創され、後に曹洞宗に改宗されました。火山性ガスを噴出する岩肌の一帯は地獄に(2011年3月11日の大地震以降火山性ガスの噴出量が減っているそうです)、宇曾利湖をとりまく白砂の浜は極楽に譬えられています。極楽浜に2012年7月に建立された「東日本大震災 慰霊塔」の前で「東日本大震災 物故衆生 追悼法要」を厳修させていただきました。下北半島では古くから「人は死ねばお山(恐山)に行く」と言い伝えられてきました。極楽浜の浜辺では若いカップルが花を手向けていらっしゃいました。どなたの為に祈っておられたのでしょう。お二人の背中に向かって遠くから「南無阿弥陀佛」を重ねさせていただきました。

 5日は下北半島の太平洋沿岸を南下し八戸市に向かいました。途中、東通村の東通原子力発電所と六ヶ所村の核燃料サイクルの商業利用を担う日本原燃株式会社の核燃料の再処理工場の傍らを通りました。六ヶ所村には他に「むつ小川原国家石油備蓄基地」があり、下北半島には風力発電所も数多く設置され、下北半島がエネルギー政策の最重要地域になっていることを改めて実感いたしました。八戸市では曹洞宗の常現寺に参拝しました。様々な行事で地域の絆づくりに取り組まれ、大地震の後には直ちに物資を集めて三陸沿岸の寺院に届けられた御住職とはお目にかかれませんでしたが、代わりにお話下さった音喜多啓秀さんは幼い頃から子供会の活動で常現寺さまに御縁があり、2011年の大地震の後、地元で役に立ちたいとの想いで北海道での農学研究を辞めて出家された方でした。大地震は多くの衆生の暮らしを奪うと共に志ある若い僧を誕生させていることを知りました。

 6日には岩手県下閉伊郡田野畑村で障がい者がパン、絵画、織物など様々な物づくりをされている施設、特定非営利活動法人「ハックの家」を訪ねました。今回の旅の目的の一つは理事長の竹下美恵子さんと職員の寺元健二さん(愛称はポコちゃん)との再会でした。寺元健二さんは2011年3月11日の大地震の後、京都から何度も被災地を訪れて支援活動を続けられる間にハックの家の方々との御縁を深められ、とうとう2015年9月下旬にハックの家の職員となられた方です。職員になられて9ヶ月余りの寺元健二さんが利用者の方から「ポコちゃん」「ポコちゃん」と頼りにされていらっしゃる様子を拝見しました。ハックの家の利用者は田野畑村の方々ばかりではなく宮古市から久慈市までの広範囲に亘られていて皆様のご送迎も元タクシー運転手のポコちゃんの大切なお仕事とのことです。

 7日は少し波が高かったのですが大津波で壊滅的な被害を受けた田野畑村の島越港から北山崎断崖クルーズを楽しみました。広島県の造船会社が震災復興のために岩手県山田町に設立した造船会社によって建造された新たな観光船でのクルーズは大地震から3年4ヶ月後の2014年7月26日に復活しました。JTBの観光資源評価で日本一の海岸美と評価された北山崎の高さ100mの断崖絶壁に圧倒されました。今回の旅では他に八戸市のウミネコの繁殖地である蕪嶋神社、三陸復興国立公園内の種差海岸、久慈市の小袖海女センター、岩手県岩泉町の龍泉洞(鍾乳洞)も訪ね、充実した4日間でした。皆様方も是非、下北半島や北三陸海岸をお訪ね下さい。

 今後も被災地に暮らされている方々との個人的な繋がりを大切にしながら被災者・被災地に関わらせていただこうと思います。


 御本尊に供えられた菓子や果物のお下がりを貧困家庭におすそ分けする「お寺おやつクラブ」(超宗派佛教徒によるインターネット寺院『虚空山彼岸寺』の活動の一環として始まった取り組みです)にも協力しておりますので、御家庭で余っている食品(菓子・果物・海苔・醤油・油など)をお届け下されば有効に活用させていただきます。ご協力を何卒宜しくお願い申し上げます。

 当院の伽藍の維持は檀信徒からの布施によってなされておりますが境内の環境保全には年間1000万円以上かかりますので広く御寄付を募っております。今年は食堂(文殊菩薩像を安置し、毎月の佛教書を読む集いや読書会に利用しています)の屋根の葺き替え工事、7月17日〜18日の集中豪雨で崩落した墓地の崖の修復工事、白砂壇西側と経蔵西側の竹垣修復工事などを行いました。ご協力いただける方は郵便振替用紙の通信欄に「寄付」とご記入いただき、お払い込み下さい。何卒宜しくお願い申し上げます。郵便振替口座番号:01050−4−60318 加入者名:本山獅子谷法然院(ほんざんししがたにほうねんいん)

 東北地方太平洋沖地震と大津波、東京電力福島第一原子力発電所の事故から3年半以上経ちますが、まだ大震災後ではなく大震災真只中の日本です。原子力発電は、たとえ発電所における事故がなくとも、ウラン採掘によりオーストラリアの先住民の居住地など鉱山周辺の大地を汚染し、発電所で働く作業員の方々に放射線による被曝を日常的に強い、膨大な時間に亘って廃棄できない放射能汚染物質を管理し続けなければならないという、人類を含め、地球上の生き物とは共存できない事業です。私は、福島第一原子力発電所の事故以降、原子力発電所の無かった日本に戻ることに明日への希望を見出したいと思います。

 サンガはサンスクリットで共同体を意味し、漢訳では僧伽(そうぎゃ)、略が僧です。従って僧は出家者個人を表す言葉ではなく、佛教を信じ、実践する人々の集いを意味しました。ブッダ・佛(真理に目覚めた人)、ダルマ・法(真理・教え)、サンガ・僧の三宝を敬うことが佛教者の最も基本的な態度として定められておりますが、僧を敬うとは仲間を大切にすることを意味しています。800年前に法然上人(1133〜1212)は「どんな人間でも『南無阿弥陀佛』と唱えれば、一切の生きとし生けるものを佛に成らせる阿弥陀佛の本願の力(他力)によって阿弥陀佛が建立した清らかな世界(浄土)である極楽に往生(往き生まれること)し、阿弥陀佛のお導きによって悟らせていただけるから、『南無阿弥陀佛』と唱えて生きよ。」と教えられました。信心を定めて『南無阿弥陀佛』と唱えるのではなく『南無阿弥陀佛』と唱えていると信心が定まってゆくのです。法然上人の佛教では『南無阿弥陀佛』を唱えながら、この世で何を願い如何に実践して生きてゆくのかは個々の意思に任されています。世界では出口の無い戦い、痛ましい事件が続き、日本では未曾有の震災が継続しておりますが、お釈迦さまが説かれた縁起(生かされて生きている)という真理を実感し、心に余裕のあるときには慈悲(生きとし生けるものに対する分け隔ての無い大いなる友愛と心を重ねる同情)の精神に基づき、他人ではなく仲間とともに生きる社会であるという意識を持って、拘らず、返礼を求めず、生かされていることの感謝の表現として出来るときに、出来る対象に、出来るかたちで、布施(法施(佛教を説く)・財施(金品を差し出す)・無財施(柔和な顔、身体を他者のために使う等)・無畏施(安心を与える))に代表される菩薩行を実践することを理想としつつ、煩悩にまみれ、善悪ではなく損得ばかり考えて生きている自己中心的な己の現実を見つめながら、法然院という場をお預かりし、信心の確立、学び、安らぎ、出会いの場として皆様方と集い、少しでも心豊かに暮らせる社会となりますよう、法然上人の教えの現代的意義を説いてまいりたく存じます。

 社会的役割を担って生きることが現代における生きがいとなっておりますが、寺は参っていただく処ではなく、会社では肩書があり、家に帰られても家での役割に押し潰されそうな時に、肩書や役割を外して帰って来ていただき、慈悲に溢れる佛と向き合い、楽になっていただく処です。本年も心の潤いと糧の補給にお立ち寄り下さい、「阿弥陀さん、ただいま!」と。

                                法然院  梶田真章


「朝日カルチャーセンター京都 公開講座 佛教と出逢う」

 8月 3日(水)、 9月 7日(水)

午前10時半〜正午 

講師:梶田真章

 8月 3日    「識(ヴィジュニャーナ)とは?」

 9月 7日    「縁(プラトヤヤ)とは?」   

於 朝日カルチャーセンター京都

(河原町通三条上ル東側 京都朝日会館8階)

受講料 有料

お申し込みは朝日カルチャーセンター京都(Tel.075-231-9693)へ

インターネット予約 http://www.asahi-culture.co.jp


「森 炎 著『死刑肯定論』(ちくま新書)を読む」
第3回

 8月 4日(木)

午後1時半〜3時45分

於 本坊

第9章「死刑を求める『安全な社会』」までを題材に語り合います。

ご参加いただける方はテキスト(864円)をご購入の上、事前にお読み下さい。

森 炎


 1959年、東京都生まれ。東京大学法学部卒。東京地裁、大阪地裁などの裁判官を経て、現在、弁護士。


法話「お盆のこころ〜『佛教と先祖教』」

 8月 7日(日)

午後1時半〜2時半

講師:梶田真章

参加志納

於 本坊


「東北関東大震災物故衆生月忌 並びに 盂蘭盆追悼法要」

 8月11日(木・祝)

午前11時

参加 志納

於 本堂

 地震発生から5年5ヶ月。追悼や復興への決意を何らかの形で表現されたい方はお集まり下さい。 志納されたお金は「未来の福島こども基金」へ寄付させていただきます。


法話「こころ豊かに生きる〜絆と縁、愛と慈悲〜」

 8月16日(火)

午後3時〜3時45分

講師:梶田真章

参加志納

於 本坊


「魚川祐司著『仏教思想のゼロポイント〜悟りとは何か〜』(新潮社)を読む」
第3回

 8月18日(木)

午後1時半〜3時45分

於 本坊

講師:梶田真章

参加料 志納(テキストをお持ちでない方は別に1600円が必要です。)

 是非皆様にご紹介したい魚川祐司さんの名著『仏教思想のゼロポイント』に取り組んでいます。ご参加下さい。


「地蔵盆(じぞうぼん) おつとめ」

 8月24日(水)

午後2時 

参加 志納

於 本堂

 佛・菩薩にはそれぞれの縁日(有縁日)があり、薬師如来は8日、阿弥陀如来は15日、観音菩薩は18日、大日如来・不動尊は28日とされています。地蔵菩薩の縁日は24日で、特に8月(旧暦では7月)24日を地蔵盆と称し、年中行事の一つとして地蔵菩薩を讃え、感謝する法要を厳修します。参詣者が輪になって大きな数珠を回しながら『南無地蔵大菩薩』と唱え、お地蔵さまの徳を讃えます。お子さま連れで多数ご参詣下さい。勿論、大人の方のみのご参詣も歓迎いたします。法要終了後は、おやつ呈上・福引に続き、大阪から「遊びの玉手箱」の皆様をお迎えし、大道芸をお楽しみいただきます。準備の都合上、ご参加いただける方は8月20日までに法然院サンガへお申込み下さい。

 地蔵菩薩
(じぞうぼさつ)


 梵語クシティガルバ。釈尊の入滅後、弥勒(みろく)佛の出生するまでの間、無佛の世界に住して六道の衆生(しゅじょう)を教化・救済するという菩薩。像は、胎蔵界曼荼羅地蔵院の主尊は菩薩形に表されるが、一般には左手に宝珠、右手に錫杖(しゃくじょう)を持つ比丘(びく)形で表される。中国では唐代、日本では平安時代より盛んに信仰される。子安地蔵・六地蔵・延命地蔵・勝軍地蔵などもある。地蔵尊。(『広辞苑』第六版 より)


「第233回 善気山念佛会」

 8月26日(金)

午後3時〜5時半

参加料 御志納

ご予約不要です。第3部のみでもご参加下さい。

第1部 午後3時 〜 3時半        おつとめ   

                      本堂でご一緒にお経を唱えます。

第2部 午後3時半 〜 4時半       おはなし

                      「禅僧の言葉で学ぶ佛教」その2

                      梶田真章

第3部 午後4時45分〜5時半       新撰組異聞「怪談 あかずの井戸」

                      女優まつむら眞弓さんが京言葉で語られます。


特に記載のない限り、会場は法然院です。

ご予約は24時間、電話、FAX、E-mailにて承ります。

〒606-8422 京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30番地 法然院 内
法然院サンガ

Tel. 090-1899-3689   Fax. 075-752-1083
E-mail:Byakurenja@aol.com
法然院のホームページ http://www.honen-in.jp/
法然院森のセンターのホームページ http://www4.ocn.ne.jp/~moricent/


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