法然院サンガ: 222

法然院サンガからのご案内

N-0222-J

平成23年 6月 1日更新

法然院サンガ

 南無阿弥陀佛。

 境内では方丈庭園の木々の枝にモリアオガエルの卵が見られ、夜にはアオバズクの声が聞こえる候となりました。地震や津波による直接の被害は文句を言うべき対象が無く、天災と諦めるより仕方がありませんが、地震や津波に伴う原子力発電所の事故による放射能汚染や風評被害などは、加害者と思われる批判すべき対象がある以上、人災として被害者が諦められないのも無理からぬことでしょう。しかし、受け入れがたい現実でも事実として諦めなければ(明らかに見なければ)、幸せだった過去を振り返られるばかりで、未来に期待して生きてゆくことは難しいかもしれません。原子力発電を推進する国と電力会社の政策によって便利な生活を謳歌してきた私どもは、福島県の方々を含め、ある意味では此度の原子力発電所の事故の加害者であり、また被害者でもあるのだと思います。

 現在、避難されている福島県の方々の苦しみには共感いたしますが、一方的にどちらかが加害者で、どちらかが被害者であるという意識が変わってゆかなければ、改めて国や電力会社の方々とも一緒に今後の日本を作ってゆこうという方には向かってゆかないでしょう。京都から出来ることは、私たちもこの不幸な状況を一緒に背負ってゆくという想いを特に福島県の被災者の方々に届けることだと思います。 全国から「私も加害者です。あなたたちだけに苦しみを背負わせて申し訳ありません。」という心からの言葉が被災者の方々に届くことを願っております。

 サンガはサンスクリットで共同体を意味する言葉です。漢字では僧伽(そうぎゃ)と書き、これを略したのが僧です。従って元来の僧は出家者個人を表す言葉ではなく、佛教を信じ、実践する人々の集いを意味していました。ブッダ・佛(真理に目覚めた人)、ダルマ・法(真理・教え)、サンガ・僧の三宝を敬うことが佛教者の最も基本的な態度として定められておりますが、僧を敬うとは仲間を大切にすることを意味しているのです。800年前に法然上人(1133〜1212)は「どんな人間でも『南無阿弥陀佛』と唱えれば、一切の生きとし生けるものを佛に成らせようとする阿弥陀佛の本願の力(他力)によって阿弥陀佛が建立した清らかな世界〔浄土〕である極楽に往生(往き生まれること)し、阿弥陀佛のお導きによって悟らせていただくことができるから、『南無阿弥陀佛』と唱えて生きよ。」と教えられました。信心を定めて『南無阿弥陀佛』と唱えるのではなく、『南無阿弥陀佛』と唱えていると信心が定まってゆくのです。被災地では、御遺体が発見されない、御遺体の身元が確認できない、死後被曝で永久に御遺体を収容できない、墓が建てられないなどの非常事態が続いておりますが、正にこのような時こそ、阿弥陀佛は震災で他界された方々や犬・猫・牛・水族館の魚たちなど、生きとし生けるものを極楽にお迎え下さり、成佛へとお導き下さっていることを『南無阿弥陀佛』を唱えつつ信心していただきたく存じております。法然上人の佛教では『南無阿弥陀佛』を唱えながら、この世で何を願い、如何に実践して生きてゆくのかは個々の意思に任されています。

 世界では出口の無い戦い、痛ましい事件が続き、日本では未曾有の震災が発生しておりますが、お釈迦さまが説かれた縁起(生かされて生きている)という真理を実感し、心に余裕のあるときには慈悲(生きとし生けるものに対する分け隔ての無い大いなる友愛と心を寄り添わせる同情)の精神に基づいて、他人ではなく仲間とともに生きる社会であるという意識を持って、こだわらず、みかえりを求めず、生かされていることの感謝の表現として、出来るときに、出来る対象に、出来るかたちで、布施〔法施(佛教を説く)・財施(金品を差し出す)・無財施(柔和な顔、穏やかな眼差し、身体を他者のために使う 等)・無畏施(安心を与える)〕に代表される菩薩行を実践することを理想としつつ、煩悩にまみれ、善悪ではなく損得ばかり考えて生きている自己中心的な己の現実を見つめながら、法然院という場をお預かりし、信心の確立、学び、安らぎ、出会いの場として皆様方と集い、少しでも心豊かに暮らせる社会となりますよう、法然上人の教えの現代的意義を説いてまいりたく存じます。社会的役割を担って生きることが現代における生きがいとなっておりますが、寺は参っていただく処ではなく、会社では肩書があり、家に帰られても家での役割に押し潰されそうな時に、肩書や役割を外して帰って来ていただき、慈悲に溢れる佛と向き合い、楽になっていただく処です。心の潤いと糧の補給にお立ち寄り下さい、「阿弥陀さん、ただいま!」と。合掌。

                                法然院  梶田真章

5月1日〜7日の「第1回『悲願会』」の期間中、
南書院に展示しておりました
山梨県在住の美術家、栗田宏一さんの作品
「『innocence』〜Hiroshima,Nagasaki,Fukushima,……〜」は
当院の所蔵品となりました。催しなどの際にご覧下さい。

 当院の伽藍の維持は檀信徒からの布施によってなされておりますが、境内の環境保全につきましては、広く御寄付を募っております。御寄付をいただいた方への特典は設けておりませんが「法然院サンガ賛助会員」として登録させていただき、折々にご案内を差し上げてゆきたく存じております。ご協力いただける方は、郵便振替用紙の通信欄に「寄付」とご記入いただき、お払い込み下さい。何卒宜しくお願い申し上げます。

郵便振替口座番号:01050−4−60318
加入者名:本山獅子谷法然院

 日本赤十字社など大きな団体への寄付を通じての被災者支援は公平性の観点から大切とは存じますが、顔の見える方々への個別の支援にも一方で取り組んでゆきたく存じます。此度、御縁がございまして、3月11日の地震による津波で校舎が2階まで水に浸かり、自宅を流された生徒も多く、5kmほど離れた仙台市立宮城野小学校で授業を受けている仙台市立荒浜小学校の生徒の皆様方の卒業アルバム製作、修学旅行、校外学習を支援させていただくことになりました。

 義捐金をお寄せ下さる方は、郵便振替用紙の通信欄に「荒浜小学校生徒学習支援」とご記入いただき、お払い込み下さい。宜しくお願い申し上げます。

郵便振替口座番号:01050−4−60318
加入者名:本山獅子谷法然院

下記の通りご参詣をお待ち申し上げております。合掌
梶田真章


「鷲田清一著『わかりやすいは わかりにくい?〜臨床哲学講座〜』を読む」
第11回
第11章 憧れつつ憎む?
〜家族について〜

 6月 2日(木)

午後1時半〜3時45分

於 本坊

主宰:梶田真章

参加料 志納(初めての方はテキスト代として700円が必要です)

『わかりやすいはわかりにくい?〜臨床哲学講座〜』をご一緒に読み、語り合います。

どうぞご参加下さい。


「2011年度 第2回 善気山で観察の森づくり」

 6月 5日(日)

午前10時半〜午後3時頃

集合:法然院森のセンター

持ち物:昼食、水筒、メモ帳、雨具、帽子、タオル、バンダナ、すべり止め付き軍手、その他

作業に適した服装でお越し下さい。

参加費は不要です。

小雨決行、荒天の場合は中止します。

分かりにくい天候の時はお問い合わせ下さい。

ご参加いただける方は、準備の都合上、出来れば事前に下記までご連絡下さい。

初めての方も、どうぞご参加下さい。

お問い合わせ・お申し込み先:フィールドソサイエティー 法然院森のセンター
Tel.075-752-4582


「第13回 〜こころのままに・・・みんなそれぞれに・・・展〜」

 6月 7日(火)〜12日(日)

午前10時〜午後4時

於 講堂

無料

   西島羊胡       (押花絵)     

   優由珠(まゆみ)   (詩画)      

   大輔         (写真)      

連絡先 〒601−1121 京都市左京区静市静原町732  Tel.075-741-3338


第127回 法然院森の教室

6月10日(金)

午後7時(午後6時半開場)

於 本坊

「蘇る『森は海の恋人』〜三陸沿岸・豊饒の海 再生の道〜」

講師:田中 克:(財)国際高等研究所チーフリサーチフェロー

「森は海の恋人」をスローガンに“森里海のつながり”を実践してこられた畠山重篤氏。現地で行動を共にされて いる田中克先生をお迎えして、森里海のつながりを軸とした復興と私たちができる支援について考えます。

参加料 1000円(お申し込みは不要です)

定員 100名(当日先着順)

参加費の一部を「森は海の恋人緊急支援の会」に寄付いたします。

お問い合わせ・主催:フィールドソサイエティー
Tel.075-752-4582 E-mail:moricent@deluxe.ocn.ne.jp


「東北関東大震災 物故衆生 月忌(がっき)追悼法要」

 6月11日(土)

午前11時

参加 志納

於 本堂

地震発生から3カ月。追悼や復興への決意を何らかの形で表現されたい方はお集まり下さい。志納されたお金は 被災地支援のため、「RQ市民災害救済センター」へ寄付させていただきます。合掌


「『親鸞』(阿満利麿著 ちくま新書)を読む」第2回

6月16日(木)

午後1時半〜3時45分

於 本坊

講師:梶田真章

参加料 志納(テキストをお持ちでない方は、別に700円が必要です。)

阿満先生の御著書の中でも御一読を特にお薦めしたい本です。

ご一緒に読んでまいりましょう。


「アメツチのウタ えま&慧奏 Presents 『唄者〜朝崎郁恵』」

 6月18日(土)

午後6時半(午後6時開場)

於 方丈

出演


朝崎郁恵  (奄美島唄)     

新原恭子  (三味線、お囃子)  

えま    (唄、二胡)     

慧奏    (ピアノ、民族打楽器)

参加料  前売 3500円  当日 4000円

御予約、お問い合わせは、うずら音楽舎まで
Tel.070-5500-1011 uzuramusic@gmail.com


「第23回 沙羅の宴」

 6月19日(日)

午後4時(午後3時半開場)

於 本坊

演奏

筑前琵琶:片山旭星(きょくせい)

曲目『祇王』『斎藤実盛』『粟津ヶ原』

参加料 御予約:2500円、当日 3000円(お茶菓子付 80人まで) 大学生以下 1500円

お申し込み・お問い合わせは法然院まで


「当院中興第1世 萬無和尚(1607〜1681)331回忌」

 6月25日(土) 午前10時半

事前申込制

萬無和尚(知恩院第38世)のご命日に当たり、本堂にて念佛回向し、墓参いたします。粗餐呈上いたします。

準備の都合上、ご参詣下さる方は前日までに御連絡下さい。

ばんぶ   
萬無和尚


1607(慶長12)年、伊勢国 津の生まれ。江戸の浄土宗増上寺の還無(げんむ)に学ぶ。鎌倉光明寺など、関東の浄土宗寺院の住職を歴任し、1674(延宝2)年、知恩院の第38世となる。1680(延宝8)年、弟子の忍澂(にんちょう)と共に法然院を開いた。1681(延宝9)年6月25日往生。75歳。号は直連社玄誉心阿。


「旧日本軍性奴隷問題の解決を求める 全国同時企画 2011@京都」
『台湾 阿媽(アマー)の写真展』

 6月23日(木)〜26日(日)

正午〜午後5時

台湾ではおばあさんのことを親しみを込めてアマー(阿媽)と呼びます。

於 南書院

無料


「柴 洋子さん(台湾の元『慰安婦』裁判を支援する会)の報告会」

 6月26日(日)

午後2時〜4時

於 会場

無料


「第171回 善気山念佛会(ぜんきさんねんぶつえ)」

 6月26日(日)

 午後3時〜6時

参加志納

於 本坊

ご予約不要です。プログラムの一部へのご参加も歓迎いたします。
ご都合のよい時刻からご参加下さい。

 第1部  午後3時〜3時半       おつとめ

                     本堂でご一緒にお経を唱えます。

 第2部  午後3時半〜4時半      おはなし   梶田真章

                     「法蔵菩薩(阿弥陀佛)の四十八願と私」

 第3部  午後4時45分〜5時45分  落語を楽しむ

                     出演  桂 吉坊(きちぼう)さん
                     桂 米朝一門、吉朝門下、
                     シャープな語り口が魅力の噺家さんです。


「第27回善気山専修(せんじゅ)念佛塾 『正信偈』(親鸞聖人作)を読む その2」

 7月 3日(日)

 午後3時〜6時

午後3時〜3時20分   念佛一会(いちえ)

             本堂にて念佛を唱えます。

午後3時半 〜 6時   講話会

             書院にて阿満利麿先生のお話をお聴きし、
             後半は対話によって深めます。

有縁の皆様方のご参加を心よりお待ち申し上げております。合掌  梶田真章

参加料 1000円(当日、お納め下さい。)

お申し込み:電話、E-mailにて法然院まで。


特に記載のない限り、会場は法然院です。

ご予約は24時間、電話、FAX、E-mailにて承ります。

〒606-8422 京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30番地 法然院 内
法然院サンガ

Tel. 090-1899-3689   Fax. 075-752-1083
E-mail:Byakurenja@aol.com
法然院のホームページ http://www.honen-in.jp/
法然院森のセンターのホームページ http://www4.ocn.ne.jp/~moricent/


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