法然院サンガ: 003

法然院サンガからのご案内

N-0003-J

アタラクシアの森

「CULTURE-F 1996」&パフォミングア−ツ

1996年5月21日(木)〜6月9日(日)

私が語ることは何もないのです。
培養した美しいコロニ−=森が全てを語っているからです。
                      中前貫文/1996.5.30

洛東、善気山麓に位置する聖域・法然院を舞台に、レクチャ−、シンポジウム、ワ− クショップ等、様々な内容をもりこんで開催されたプロジェクト「アタラクシアの森 」では、期間中、講堂にて、美術家中前貫文によるインスタレ−ション「CULTURE-F 1996」が公開された。

タイトルにある「CULTURE」は、培養と文化という2つの意味を含み、つづく「-F」 は、今後、連続的に展開するこのプロジェクトのfirstであることを示している。

会場には、プロジェクタ−から映し出される2つステ−ジがある。一方では、木漏れ 日や、森の風景、人間の身体の一部などを映した映像などからなる、人間にとって可 視の環境ステ−ジ (an image of landscape)、もう一方では、法然院の森に生息する 微生物を培養し、そのコロニ−を映した、通常では人間の目に見えない環境ステ−ジ (an images of microorganism)である。また、奧に展示されたケ−スのなかでは、期 間中、展覧会を訪れた人々の手から採取された細菌が培養されている。

・法然院の森に浮遊する花粉や胞子
 などを採取するキャッチャ−

日々移りゆく環境ともに変化し、生かされていく作品のなかで、
作者はすでに無であり、自らを単なる「オペレ−タ−」であるという。

ごく身近にありながら、その無限の変化に想いを馳せることもなく、
見過ごされたままの環境ステ−ジが、2つ異なったパタ−ンで切り取られ、
注視された状態になっている。

まず、作品の内部へと進み、2つのステ−ジの間に立つ。
それは、それらと第三番目のステ−ジである自己との狭間にある
境界と関係を意識する体験である。やがて、そのどちらにも含まれ、
一体となる自己を想像する。
失われていた、ある眼差しが、ア−トによって回復される。


6月1日(土)には、インスタレ−ション「CULTURE-F 1996」の会場で、IALメン バ−によるパフォ−マンスと、不動美里・遠藤芳晴によるサウンドコラボレ−ション がおこなわれた。

・Performing Arts


中前貫文(art work)岡本武士(poet)IALメンバ−(performance)谷悟(curater)

  しずくが続くならば

滴りは途切れない
始まりを忘れて濡れそぼる
震え続ける身を抱き締めてあげながら
終わることには怯えないようにしている
そこを刺激し続けるしずくが愛しい
(岡本武士作)

白装束に身を包んだパフォ−マ−たちによって、現代詩のフレ−ズが、とめどなくく りかえされていく。ぽたり、ぽたりと、ことばのしずくは、場全体に滲みわたった。

・sound collaboration
 ガイアドラム演奏 不動美里
 胡弓演奏     遠藤芳晴


(PHOTO&TEXT;NISHIYAMA Masako)


中前寛文プロフィ−ル

1955年 大阪に生まれる
1979年 京都市立芸術大学美術学部西洋画卒業
個展
1978年 ギャラリ−射手座(京都)
1979年 ギャラリ−サイドフロア(京都)
1982年 信濃橋画廊(大阪)
1983年 ギャラリ−彫刻画夢(大阪)
1983年 神戸現代美術ギャラリ−(神戸)
1986年 信濃橋画廊(大阪)
1988年 信濃橋画廊(大阪)
1988年 川口・安治川のためのドロ−イング展(大阪府立文化情報センタ−)
1993年 「みなそこにやどる」第6回IAL企画展(伽奈泥庵、大阪)
1996年 ベル書店ギャラリ−(大分県佐伯)

グル−プ展他(1990以降)
1991年 SYNCHRONIZEパフォ−ミングライブ
      (京都パフォ−ミングア−ツセンタ−)
1991年 BAO芸術祭in堅田に参加(大津)
1992年 第一回ア−ト ・ア−ティスト・オ−ディション(横浜みなとみらい2 1)
1993年 京を創る(嵐山渡月橋)
1993年 水底にブル−(Dim Sun Barでインスタレ−ション・大阪)
1995年 びわこ現代造形展’95招待作家(大津港、滋賀)
1995年 戦後50周年記念事業「アジアのピ−スア−ト展・戦争と芸術’95」
      (大阪国際平和センタ−)

現在、インスタレ−ション「CULTURE-F 1996」のワ−ルドツア−展開を企画中。さま ざまな国の文化圏に持ち込み、よりコミュニケ−ションの強い作品をつくりたいとの こと。来年、オ−ストラリアでの展覧会実現にむけ、活動している。


特に記載のない限り会場は法然院です。ご予約は24時間、電話、FAX、E-mailにて承ります。


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